天使と悪魔の記録

 

やっと、退院。

4月23日は雨だった。夫は、会社を半休して迎えに来てくれた。
小雨降るなか、夫と3人で家に向かう。

家に戻ると、近所の方達が総出で出迎えてくださった。
傘をさしてくださり、ドアを開けてくださり…(笑)。
この辺りで久し振りに産まれた赤ちゃんだったので皆さん、楽しみに待っていて
くださった。
皆さんにお披露目したかったが、雨だったしこなつにとって
初めての外気だったので、失礼してすぐ家へ入る。

義母と義父にこなつを預けて2階へ。
私は早くちこに会いたかったのだ。
ちこと8日ぶりの対面。
さぞかし喜んでくれるかと思ったが、ちこは逃げた…。
何だか、いつもと違う雰囲気がいやだったようだ。
手を差し伸べると、一生懸命私の匂いを嗅ぎ、やっと安心してすりすりしてくる。

こなつを連れて2階へ戻る。
ちこは初めてこなつを見たとき、本当にぎょ!っとした顔をしたが、
それ以降はほとんどこなつを無視していた。こなつが、夜泣きするまで…
(詳しくは、ちこちゃんの後頭部をごらんください)。

こなつが寝たので、夫が会社に戻る前にシャワーを浴びに浴室へ入った。
シャワーを浴びていると、こなつの泣き声が聞こえて来た。
もう、起きちゃったのかと思ったが、夫が見ているのでそのまま身体を洗い続ける。
「おんぎゃー、おんぎゃー!」
いっこうに泣きやむ気配がないので、私はしかたなく浴室を出た。

「こなつちゃん、こなつちゃん!」
夫が、ベビーベッドに張り付いてこなつを呼んでいる。
あまりの夫の必死な形相に何かあったのかと思い、
「どうしたの?何かあったの?」と、急いでベビーベッドへ駆け寄ると、
「あ、大変だよ、こなつちゃんが泣いて暴れるから、
どんどん上に上がっちゃって、もう少しで頭がベッドに当たっちゃうよ!」
夫は、私にすがりつかんばかりに言った。

…夫は、まだこなつを抱くことができなかった。
ボクシングのセコンドみたいにベッドの柵にしがみついて、、
「これ以上、上に行くと頭がごつんしちゃうよ。」
と、言い続けていたのだ。
情けねえ…。
ぐにゃぐにゃの赤ちゃんは、確かに壊れそうで不安だったのかもしれないが…。

夫が初めてこなつを抱けたのは4月29日、ゴールデンウィークに入ってからだ
った。
こわごわ抱く夫の不安な気配を感じ取ったのか、こなつも目を見開いて父親を見
ている。
「落とすんじゃないわよー、落とさないでよー、落とされたらいたいのよー!」
こなつの必死の形相はそう語っていた

一度抱いてからは自信がついたのか、毎日ちゃんと抱けるようになった。
こうして、父親も成長するのである(笑)。

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