天使と悪魔の記録

 

七五三本番

2000年11月11日。
いよいよ運命の七五三本番だ!

「髪の毛屋さん(美容院)さんはヤダ!だったら、着物着ない!」
と、朝から親を脅迫…。

先週七五三をやったRKちゃんはちゃんと美容院へ行き、
ほんの少しお化粧をしたそうだが、何を思ったのかRKちゃんは美容院を出たとたん、
まるで犬のように頭をぶるぶるぶるー!っと振りまくり、
かんざしも何もかも全て空の彼方へ飛んでいったらしい。
おまけにお化粧も、変だ!とだんなさんがティッシュでふき取りまくり、
「何のために美容院へ行ったんだか…。」と嘆いていた。
どうせこなつもRKちゃんの二の舞いだろう。
美容院なんかいいやと、私が一つに結びくるくるっと上で止め、
リボンを付けたら何となくそれらしくなった。これでいいや。
着付けも義母が張り切ってしてくれた。
私と夫は普通のスーツ。お参りも近所の神社と、何だか安上がりだなあ。
まあ、いいや。

こなつの準備も、いよいよ完了。
か、かわいいいいいいーーーー!
と思いっきり叫びたかったのをのど元でぐっとこらえ
「こなつ、かっこいいよー、すごくかっこいい!ね!ね!ね!」
と、無理やり夫の両親や夫に同意を求める。
「そ、そうだねー、かっこいいねー、ほんとにーーー。」
引きつりながら、合わせてくれる両親。
苦労かけるね、すまんこってす(;_;)。

支度ができたら、ご近所まわりだ。
私たちが住んでいるところは東京のS区だが、
この辺りはまだ昔ながらのご近所つき合いがちゃんと残っており、
何かのお祝い事にお赤飯を持ってご近所を回る習慣がある。
(私が嫁に来たときも、お赤飯と新宿名物花園まんじゅうをもって連れ回され
た。)
お赤飯と千歳あめを持ち、向こう三軒両隣に挨拶に回る。
こなつは自分が主人公だとはっきりわかっているから、どこへ行っても大はしゃぎ。
着物の袖をもってクルクル廻る小技まで披露した。
手提げ袋をぶんぶん振り回し、ぞうりでコケながら先頭きってご近所の家を次々
訪ねる。
最後のお家が終わり、家に戻る途中こなつは道にどっさり座り込んだ。
「何してるの?」と、私が聞くと
「あんよの指が痛くてもう歩けない(;_;)」
草履の鼻緒が痛くなったらしい。
歩いて10分の神社へはとても辿りつけそうもないので、車で行くことにした。

神社へ着き、手続きをする。日曜の午前中なのに、七五三のご祈祷は私たちだけ。
みんなやっぱり、明治神宮へ行くんだなあ…。

神主さんと対面したこなつは、初対面の方にいつもするように、
舐められちゃいけねえ!っと思いきりにらみつける。
「こんにちは、かわいいね。」
さすが神職。神主さんはかなり若そうだったが少しもひるむところなくにこやか
に、
こなつに挨拶してくださった。
神主さんとの対決に(一方通行だが)こなつは勝利を確信し、神殿の中へすたす
た入って行く。
その後をぞろぞろと夫の両親、私たち夫婦が後を追う…。何だか情けないぞ…。

いよいよ祝詞が始まると、こなつは足をぶらぶらさせながら小さい声で何かつぶ
やいている。
何だろうと耳を傾けると
「たぁけやぁ〜、さぁおだけぇええー〜、いー〜しやきぃもぉー、おいも〜
〜〜〜〜。」
と、祝詞に合わせた低い声でうなっている。
(ひぇ〜〜〜〜〜)
私は全身を震わせ自分の手の甲を思いっきりひねり、
吹き出すのをなんとかこらえた。
子供の想像力は侮れない…。
無事にお払いも終わり、神社からのお祝いをいただく時、
こなつは神主さんも足袋をはいていることを発見。
「あー、神様(神主さんのこと)こなつとおんなじーー!!!!かんぱーい、か
んぱーい!!」
と、自分の足を神主さんの足袋の上に置きぐいぐい踏みつける。
「す、すみません、すみません!!」
それでもにこやかにしてくださった神主さんに謝りながら、
「かんぱーい!」と叫び続けるこなつを、引きずるように引っ張りながら神社を
あとにした。

とにかく終った、とりあえず終った!
あぁぁああああ、ほっと一息…。

その後は、近所の「木曽路」にささやかな席を設け、
親戚の方などと和やかに会食をしたのでした。

今度は七歳。
今回よりは絶対に、絶対に楽だろう!!

○後日談
今年の年賀状は七五三の写真入りがかなり多かった。
そのうちの一通、お友達の七歳の娘さんの着ている着物にがく然…。
何と、ポケットモンスターが織り込まれているのだ!
こなつも三度の飯よりピカチュウが大好き。
着ないと駄々をこねていたときも
「ピカチュウの着物なら着る!」
と言っていたくらいだ。
でもまさか、本当にピカチュウの着物があるとはなあ…。
日本の文化も進歩している。

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