天使と悪魔の記録

 

恐怖の入園式

平成13年4月7日。
SK幼稚園、めでたく入園式。


朝から雨というありがたくない天気予報は見事に外れて、
この日は朝から晴天。
春らしい、暖かい一日となった。
「スカートなんか履かない!」
というこなつをなだめすかせ、紺の制服を着せる。
ベレー帽をかぶせると、立派な幼稚園生になった。
大急ぎで私も、ピンクのスーツに着替える。
それを見た夫が一言。
「○ーこ、そっくり。」
なんだとおおお(怒)!!!!!
でも、ここで夫を構っていられない。
さっさと着替え支度を済ませ外へ出ると、
義母がカメラを持って待っていた。
こなつはスカートを履かせられて、思いっきり不機嫌。
せっかくのカメラにも、笑顔はまるでなし(;_;)。
義母に頭を下げて、夫と自転車でSK幼稚園へむかう。
途中、やはり入園式らしいかわいい姿があちこちで見られる。

SK幼稚園につき、受付をする。
「お名前は?」先生が優しく聞いてくださる。
(でも、この時名前を言う前に先生は
こなつの名札を手にしていて、びっくりした。)
「○○こなつう。」
ふてくされたように言うこなつ(;_;)。
名札をつけて、入園式会場である教室へ入る。
一番前の席にこなつだけ座り、私たちは保護者席へ。
最初は不安そうに、私の顔を何度も振り返ったが、
式が始まると、お隣の女の子と何やらお話をしている。
そのうち、その子がこなつの髪に触ると、
こなつは「やめて!」と、手を振りほどいた。
こなつは自分はしつこいくせに、しつこくされるのは嫌いだ。
そのうちに、その子がこなつを叩いた。
当然、こなつは3倍にして返す。
その子もたたき返す。あっという間に、二人は殴り合い(;_;)。
止めに行こうと席を立つと、
園長先生がこなつたちをにこにこして見ておられる。
担任の先生も、にこにこして見ている。
先生が黙っているのだからと、私もまた席に座り直した。
そのうちにこなつたちは何やらまたコソコソと話しはじめ、
すっかり仲直りしていた。
彼女達には、彼女達なりのコミュニケーションの取り方があるようだ。
先生方もそれをよくわかっておられ、見て見ぬふりをなさっていたのだろう。
さすがだ…!
園長先生のお話が始まる。
「おはようございます。みなさん、入園おめでとう。」
「はーい、ありがとうございますう!」
突然響く、子供の声…。
…こなつだ。
「元気ですねえ。」
「あのねえ、こなつねえ、○○こなつです。」
頼まれてもいないのに、自己紹介してやがる…。
うつむく私たちに、後ろからRKのママがげらげら笑いながら私をつつく。
…やめろよ。私が親だってみんなにばれるじゃん(;_;)。
そのうちにどこからともなく入ってきたハエが、
園長先生の頭の上をクルクルと飛んでいる。
「あ!ハエだ!先生ほら、ハエハエ!!」
こなつは手を伸ばして、取ろうとする。
すると、隣の子も立ち上がりハエを追いかける。
すると、そのまた隣の子も、また隣の子も…。
あっという間に、会場はハエ取り大会に…。
…すみません(;_;)。
担任の先生た、副担任の先生などに優しくなだめられ、
こなつたちは席に戻る。
担任の先生は、こなつの隣にバッチリ座り込んだ。
来賓の方々が壇上に上がる。
にっこり笑った白髪の紳士、やはりにこにこしたちょっと太めの紳士、
むっつりとした、背の曲がった紳士…。
お三方が席につき、君が代の斉唱。
終ると、園長先生からこれからの園での生活をくまの絵やウサギの絵を使って、
わかりやすく園児達に説明がある。
その間こなつは担任のs先生に体当たりをしたり、
両隣の子と遊んでいる。

ふと壇上の来賓の方を見ると、
一人足りない…。
いや違う、身体が異常に斜めに倒れているため見えないのだ。
あれっと思うと、ばっと態勢を立て直す。
何だか、動きが変だぞ。
と思うと、今度は首ががくっと後ろに倒れた。
…このおっさん、寝てやがる。
園長先生が「では、来賓の先生を紹介します。」
とコメント。
あのおっさんの正体がわかるぞ。一体誰なんだよ。

最初の白髪の紳士は、G大の名誉教授だった。
優しい言葉で、園児達にお祝いを述べられた。
次のかっぷくのいい先生は、M芸術大学の教授をされていた先生で、
時々園でも指導してくださるという。
問題のおっさんは…?
…何の紹介もなかった。
謎のおっさんは、今度は手の爪をずっといじくっていたかと思うと、
貧乏揺すりをしながら鼻をほじった。
園児と、同じことしてやがる…。

次に、各担任の先生の紹介があった。
みなさん幼稚園の先生だけあって、園児達の気を引くのが上手い。
こなつなど、見事に術中にはまり、
手をあげて返事をしている。
でも、そのうちに返事の声がどんどん大きくなり、絶叫に近くなる。
すると、隣の子の声も大きくなり、
そのまた隣の子も、また隣の子も…。
あっという間に、大絶叫大会になった。
…すみません(;_;)。
園長先生もついに、こなつの前で
にこにこ笑いながら、しーと口に手を当てた。
もう、確実に問題児じゃん…(;_;)。

もうそろそろ、園児達の座っている時間にも限界が来たころ、
「では、最後に理事長からの挨拶があります。」
と、園長先生がおっしゃると、謎のおっさんが立ち上がった。
理事長だとおおお
謎のおっさんは、SK幼稚園の理事長さんだった…。
理事長さんは相変わらずむっつりした顔で立ち上がると、
「は、じゃあ月曜から元気に来なさい。」
というと、いきなりすたすた帰っていった。

…挨拶は、たったそれだけですかい?

園長先生は、気にもせず最後のご挨拶をなさり、
記念写真の撮影の準備に入った。
と、いきなり
「おかあさああん〜!」と、園児の泣き声。
…こなつだった。
そろそろ疲れもあったし、母親が恋しくなったのか(まだ一応3歳だし…)、
大声をあげて泣いている。
で、こなつが泣くと左右の子も泣きだし、
そのまた隣の子も、また隣の子も…。
泣き声の大合唱になった…。
すみません…(;_;)。
収拾がつかないまま、写真撮影を決行。
ほとんどの子が、鼻を垂らして泣いている集合写真になった…。

帰りに園長先生や担任の先生に騒いですみませんでしたと、頭を下げると、
「元気ないいお子さんですよ。」と笑ってくださった。
一応確認したが、目の奥も笑っていらっしゃった。
ああ、よかった(;_;)。
この幼稚園を選んで、やっぱりよかった。
(唯一の不安は、あの理事長…。)
感動の涙に打ち震える予定が、
結局、大恥かいた入園式になっちまった。

とにかく、月曜からいよいよ登園。
先生方、これからもどうぞよろしくお願いします。
もう入れちゃったんだから、途中退園させないでね(懇願)。


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