天使と悪魔の記録

 

6歳の夏休み(1日目、2日目)。

今年の夏休みは、連れの親戚の家に出かけた。
場所は津軽の山の中。
車で行くにも、電車を乗り継ぐにも膨大な時間がかかる。
ももの負担も考えて、飛行機で行くことにした。

1日目。
車で飛行場に向かい、飛行場近くの駐車場に預ける。
空港に着くと、人人人。
前日の台風で欠航が相次ぎ、
キャンセル待ちの方があちこちに座り込んでいる。
ももを預けるのは搭乗1時間前。
なるべくぎりぎりまで一緒にいようと、
飛行場の片隅で時間を待つ。
こなつは私からみえる範囲でうろうろと飛行場を探検する。
「おかーさん、こなつは始めて飛行機に乗るねえ。」

…3回目だけど!!
「去年の夏休みにグアムに行ったこと覚えてないの?」
「忘れたーー!!」
えーーーーーーーーー!!!!!!!
いくらかかったと思ってるんだよ!!(怒)
2歳のハワイは忘れてもしょうがないけど、
去年のグアムぐらい覚えてろよ!!(怒)

(こなつにとっては(怒))始めての飛行機になるってことで、
こなつはわくわく。
時間になり、ももを荷物カウンターで預ける。
ももはどこへ連れていかれるのか不安な様子。
こちらも胸が痛くなる(;_;)。
出発ロビーに入り、連れは早速ビールを飲んで出発時間を待つ。
時間になり、飛行機へ。
右2列、左3列の小さな飛行機だ。
1時間半の飛行時間は
台風の追い風のおかげで少し早目に付いた。

ももは一番最初に出していただけて、すぐに抱くことができた。
かわいそうにぶるぶる震えている。
なぜながら話しかけていると、ようやく落ち着いた。
空港にはおじいちゃんとおばあちゃんが迎えに来てくれた。
車で早速家に向かう。
おばあちゃんと、色々は話をしているといきなり
がっちゃーーーーーーーーん!!!!!!と、大きな音。
一同何が起こったのかわからない。
連れが
「車止めて、横に付けろ。」と言ったので
始めて事故に遭ったことに気がつく。
車を降りると、軽自動車の左後方のライトは砕け、
タイヤに車体が食い込んでいる。
「申訳ないです。」
相手の方が頭を下げながらよってくる。
ガソリンスタンドと、
コンビニのちょうど前だったためまだ周囲が見える。
もう少し先だったら、山の中で何も見えないところだった。
相手の人は、落ちたたばこを拾おうと思って
かがみ込んだ瞬間にぶつけたらしい。
とりあえず、全員怪我はないようだ。
警察を読んだが、恐ろしく時間がかかる。
やはり、東京とは違うな。
調書にも恐ろしく時間がかかり、
こなつはお腹が空いて怒りのあまりそこら中走り回る。
約二時間かかってようやく調書が終わる。
母印を押したのは初めてだな(笑)。
私たちは一応被害者になる。
「お嬢さんはどうですか?怪我はないですか?」と
お巡りさんが聞く。
「あれだけ走り回ってたら大丈夫だね。」
もう一人のお巡りさんが言う。
確かに!!(笑)

いきなり事故に遭って先が思いやられるけど、
全員怪我がないのが何より。
連れがガソリンスタンドで工具を借りて、
何とか走れるように直す。
再び家に向かう。
こなつは腹減り。ももは疲労でぐったり。
私たちも疲労でぐったり。
お家について早速ごはんを食べて早めに就寝した。

2日目。
少し遅めに起きて、ももの散歩に出かけると
道行く人がみんな笑顔で声をかけてくれる。
家に戻り連れにその話をすると、
「ここらへんは、人類みな姉弟だから。」と、笑った。
もうすでに、私たちが来ていることも、
昨夜の事故のことも村中に広がっているらしい(笑)。
朝一番で、代車も届いていた(笑)。

朝ご飯の後リンゴ畑に行く。
ももの鎖を放す。
ももは嬉しくてそこら中走り回る。
本当に嬉しそうだ(笑)。
こなつも始めてのリンゴ畑に珍しそうにリンゴを眺め、
畑になっているスイカを見つけて大喜び。
キュウリやなすをおばあちゃんととったり、
スイカをその場で食べたり、
こなつは嬉しくて嬉しくて大興奮。
もももそこら中走り回って、
疲れてへたり込んでいるけど、
顔は思いっきり笑っている。
子供たちのこんな顔が見られて、親も大満足。
車でもう一つの果樹園に移動。
ここではももや、スモモを作っている。
スモモを採ってもらってこなつは嬉しそうに食べる。
ももはまだ早いらしい。
採れたての果物を食べられるチャンスなんて
そうそうないもんね。よかったね。

午後はお弁当をもって弘前へ向かう。
ねぷた会館に入る。
ももも抱っこなら良いとのことで、全員入れた。
ももは大きな太鼓の音にびっくり。
こなつは大きな太鼓の音に大喜び。
生の津軽三味線は迫力があって素晴らしかった。

お弁当を食べようと、弘前城に向かう。
残念ながら、犬猫の進入は禁止。
公園の中は抱っこしてくださいとのことで、
入り口近くにござを敷いてお弁当を食べることにする。
広大な園内には無数の桜の木。
桜の季節はさぞかし豪華だろうなあ。
お城に行きたかったが、もももずっと抱っこで
移動じゃかわいそうということで、公園をでる。

弘前で1番(笑)というショッピングセンターで
こなつは服を買ってもらった。
私の服も見たが、農作業の服と、
子供服ばかりでちょうど中間の私らの服がない(笑)。
長そでばかりで、もう秋物かと思ったら
青森ではこれが当たり前らしい。
半袖を着る期間は短いものね。
こなつは男の子らしい模様のTシャツが気に入ったようで、
また私ともめる。
「赤なら良いじゃん!!」と、
押し切られしぶしぶそれに決める。
もう一つはこなつも私を気にしたようで、
ピンクのキティーちゃんにした。

家に戻ると、夕方の涼風に緑の濃厚な匂いが乗ってくる。
夜に、親戚のおじさんが見えた。
連れと、おじいちゃんとおじさんで飲んでいる。
津軽の人は、静かだ。
フランス語に似たイントネーションの津軽弁で、
静かに語り、静かに飲む。
でも、ずっと笑顔だ。
あまり早いとわからないのだが、
少し慣れてくると津軽弁も何とか聞き取れる。
まじめな話にもいくつかの冗談を混ざる。
センスがある会話なんだな。
津軽弁がしゃべれる連れが、心底羨ましかった。

窓を開け放ち、優しい空気の中で就寝した。

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