天使と悪魔の記録

 

6歳の夏休み3日目、4日目。

3日目は、世界遺産でもある白神山地へ。
車で役2時間ほど山間部を走る。
途中に小さな瀧があって、
「冬の間にここが凍れば、豊作なんだよ。」と、おばあちゃん。
毎年、ここへ様子を見に来るそうだ。
あちこちに温泉地があり、温泉地にそって豪邸が並ぶ。
田舎には少し不似合いなほどの豪邸。
「みんなダムで沈んだ村の人の家だよ。」
ダムで故郷が沈むかわりに、お金を手にして建てた家だそうだ。
でも、田畑を手放し生活の術もないそうで
良いのか悪いのか…。

ようやく白神山地へ着き、
キャンプ場とロッジの隣の公園でお弁当を食べる。
ほとんど垂直のすべり台を、
こなつはぎゃーぎゃー怖がりながら滑る。
みている私の方が怖いけど…。
ここは遊具も充実していて、
こなつはなかなか離れたがらないが
私たちは世界遺産を見に来たんだって!!!

世界遺産なので、
犬を連れていってもいいのか一応ビジターセンターで聞く。
問題ないとのことなので、暗門の滝へ向かって歩き出す。
途中の売店で、長靴の貸し出しがしており
サンダル履きだったので私だけ借りる。

借りておいて良かった…。
川沿いの道は、そこここに清流があふれ出し水浸し。
連れとこなつはサンダルだったが、
「冷たくて気持ちがいいよ。」と、川の中へ入る。
ももは、おいしそうに川の水を飲む。
そここに険しい道があり、連れと交代でももを抱っこするが
どちらかが先へ行ってしまうと不安そうに泣き、
抱かれるより自分で歩く方は安心するようだった。
農家の人はやはり足腰も頑丈で、
おじいちゃんもおばあちゃんもすたすた歩く。
こなつもわがままも言わずよく歩いたが、
子供には少し大変な道のりだったかも。

おじいちゃんがいきなり、山の方へ踏み入り
「これ、俺の好物だ。」
と、山草の「みず」をむしゃむしゃかじり出す。

じーちゃん、ここ世界遺産ですが!!!!!
おじいちゃんには世界遺産もへったくれもなく、
どんな山だろうとおらが山で、山の作物はみんなのもので…。

川沿いの道をまだまだ進む。
途中で、こなつは川遊びに夢中になり、みんな一休み。
本当に清流って言うのは、こういう川を言うんだろうな。

滝が近づくにつれて、階段も急になり足下も危うくなる。
川は、深みを増してこいエメラルドグリーンに輝く。
しんと深い川底に、一匹の魚が悠然ととどまっている。
どうどうとした体躯に、ここの自然の豊かさを感じる。
そっと川底をのぞき込むおじいちゃん。
「うまそうだな。」

・・・・・・・・・・・・・・・・。
おじいちゃんには世界遺産もへったくれもなく、
どんな川だろうとおらが川で、川の作物はみんなのもので…。

ようやく滝に辿り着く。
鮮やかな水しぶきをあげて、だくだくと水が流れ降りてくる。
しばらくみんなで見とれる。
ももは関係なしに、やはり川の水を飲んでいる…。
お腹ちゃぽちゃぽじゃないの?
こなつは枝を振り回して川の水と遊び、
こちらも名瀑には縁がなさそう…。
ここは第一の滝で、第二第三と続くが
ももとこなつの事を思い第一で断念することにした。

帰りはブナの森林のコースを歩く。
階段もきつく、川沿いの道のほうが近いかもしれないが
やはり自然の森は美しく、帰り道はこちらの方がお進め。
階段で転んで一度大泣きしたが、こなつはよく歩いた。
歩いても歩いても深い森で、
いつになったら駐車場に着くんだろうと思う頃から
下り坂になる。
しばらくしてようやく、長靴を借りた売店へ着く。
売店の近くのブナの森の入り口付近のわき水が、
とってもおいしかった。

すっかり汚れたももを、売店の水道を借りて洗う。
お水がとてもとても冷たくて、連れは
「川の水の方がまだ暖かいよ。」
ももはすっかり凍えてしまった。
帰りの車の中で、
バスタオルにくるむとようやく落ち着いてももは爆睡。
こなつも爆睡。

家に戻って、おじいちゃんにももを預けて近くの温泉へ。
ゆったりつかって、旅の疲れを落とす。
ほんとに、極楽!!

4日目。
今日はもう帰る日なので、
みんなで畑に行ってももはまたドッグラン。
その後、
村に唯一ある娯楽施設に行って少しだけ乗り物に乗って
帰る支度をする。
おばあちゃんはことあるごとに涙目になり、
帰るのが辛くなる。
飛行場ではこなつも号泣。
もっと近ければ、もっと来られるのにね。
飛行機の中でもこなつはしくしく。
至れり尽くせりで、
おばあちゃんは心底こなつに優しかったものね。
また来年までの辛抱。

飛行場につくと、名古屋空港ではももは一番最後だった…。
空港によって、動物の扱いが違うのかもな。

とっても楽しい6歳の夏休みは、これでおしまい。

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