雑文林

 

7歳のちこ

ちこは、今年の7月で7歳の誕生日を迎える。
ねこというのは歳を取れば取るほど、
人間に近づいてくる。
(以前飼っていたラムは17歳と8ヶ月で老衰でなくなったのだが、
最後の2年くらいは人間を遥に超えた不思議な存在だった。)

ちこがうちに来た頃は人間不信で、
頑なに心を閉ざしているようなところがあった。
抱かれないし、触られるのを嫌う。
間違ってもごろごろなんか言ってやるか!(怒)、という態度だった。
1ヶ月ほどで、私に懐いたが抱かれるのは嫌がった。
2が月ほどでゴロゴロ言うようになり、
半年経ったころにやっと、撫でてと自分から寄ってくるようになった。

それでも自分勝手は続く。
都合も考えずに遊んでとわめき、無視すると暴れる。
自分が機嫌が悪い時、触ると噛む。
ご飯が気に入らないと、いつまでも食べない。
寒いと布団に入ってくるが、私を噛んで追い出し自分が真ん中に寝る。
映画などを見て私が泣いているのを見ると「ぐ!」と、
一言言ってなぜか怒って向こうへ行ってしまう。
ねこはわがままだからなあ、とあまり気にしなかったが、
甘え上手だったラムを思うとほんの少し物足りない気もしていた。

そんなちこに、劇的な変化が訪れる。
きっかけはこなつの誕生だ。
こなつの誕生を期に、まず我慢することを覚えた。
こなつが起きているかぎり遊んでもらえないことを悟り、
こなつが寝るまで辛抱強く待った。
こなつにどんなにひどい目に遭わされても、
噛まないし、引っ掻かない。

そして何より、私との信頼関係が深くなった。
私が家にいることが多くなったせいか、私を観察し、私の生活のリズムを覚えた。
買物にでたらどのくらいで戻る、この時間は遊んでもらえる、
など私と二人になれる時間を覚えたようだ。
その時間はきっちり私に相手をさせる。
でも、こなつが泣いたりするとまた辛抱強く待っていた。

二人きりになると、私の目をじっと見つめ
「にゃあ」と、してもらいたいことを訴える。
遊んで、撫でて、ご飯ちょうだい。
私も二人の時はちこの言う通りにしてあげる。
それは私にとっても心和む時間だ。

最近、ちこはますます人間に近づいてきた(笑)。
こなつとは本気でケンカするが、
相変わらずこなつには爪を出さず、噛んでも甘がみていど。
私が連れとケンカして夜中に泣いていると、
そっと寄ってきて私の膝に手を載せ、顔を舐めてくれる。
連れへの怒りもすっ飛ぶほど、嬉しくなる。
こなつを怒鳴ると、いつの間にかこなつと私の間に入ってくる。
私の機嫌が悪いと、私の足に身体をすり付け「にゃあ」と鳴く。
もう怒るのやめればといいたげに。

ことに私の心の変化には敏感で、
私の心の癒し方をよく知っている。
(連れにもぜひ学んでいただきたいものだ(笑))

先日の夜、私は仕事の電話などがどうしても終わらず、こなつを一人で寝かせた。
こなつは自分で電気を消して、一人で寝た。
かわいそうに思い、仕事を休んで部屋を覗くと、
ちこがこなつにぴったりと身体をくっつけゴロゴロ言っていた。
まるでちこが寝かしつけたように、こなつもすやすや寝ている。

こなつが生まれて大人になったのか、
年を重ねて自然に大人になっていったのかはわからないが、ちこは確実に成長した。
親は勝手で、ちこが大人になればそれはそれでちょっと寂しい(笑)
でも、ねこのいる生活っていいなと、この頃のちこを見てしみじみ思う。

(C) Copyright 2001 nachi All rights reserved. Update : 2002/09/24 Goto HOME